管理人さん、今年は花粉がヤバいですね
はい、私もつらいです・・・
この記事を読むことで
- 花粉症とは何かがわかるようになります
- 花粉症の対策、代表的な薬物治療がわかるようになります
管理人には製薬会社、マスクメーカー含め開示すべき利益相反はありません。(この記事の内容に関連する企業、団体などから金銭含め受領しているものはありません)
- 花粉症は花粉に対するアレルギー反応なので暴露される花粉が少ないほど症状は軽い
- マスク、花粉対策メガネなどで曝露量を減らそう
- 症状がつらければまずは抗ヒスタミン薬の飲み薬
- それでもつらければ点鼻ステロイド
- 眼の症状には点眼薬
- コンタクトレンズ使用者はアレジオン点眼を使う
- 色々やってもつらい、もう薬を飲むのは嫌だというなら免疫療法を検討
花粉症とは
今年の花粉症はつらいですね。。。過去10年で最大で全国で450万トンも飛ぶという試算があるようです!!
ダニやハウスダスト、ペットの毛などように一年中抗原がある物質に対する鼻症状(鼻水、くしゃみ、はなづまり)がある場合には通年性アレルギー性鼻炎、スギ、ヒノキ、シラカバの花粉のように季節にしか鼻状が出ない場合を季節性アレルギー性鼻炎と呼びます。
花粉症は季節性アレルギー性鼻炎を中心としたアレルギー症状ですので、鼻以外の症状が出ることもあります。結膜炎症状(結膜=目の白目の部分。かゆみ、涙、違和感、充血)、皮膚のかゆみ、のどの違和感、咳、倦怠感が出ることがあります。
そもそもアレルギーって何、と思った方はこの図をご参照ください。(第一三共ヘルスケアWebサイトhttps://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/symptom/07_arerugi/)
花粉症の方は年々増えており、日本人の3人に1人がスギ花粉症と言われています。特に10-50代では特に多く、およそ2人に1人が花粉症と言われています。
風邪との違い
今年発症した花粉症と風邪(インフルエンザ、コロナ含め)の初期症状を100%厳密に区別する方法は残念ながらありません。傾向としては、花粉症は鼻症状がメインでのどの痛みや咳はあまり出ず、高熱が出ることはありません。眼のかゆみがあるなら花粉症の可能性が高くなります。毎年同じような時期に同じような症状が出る、しかも鼻にも眼にも症状がでるのであればほぼ花粉症でしょう。
花粉症の人が花粉シーズンの途中で風邪もひくってことは当然あり得ますけどね
花粉症はどのように診断されるか?
耳鼻科の先生に言わせると「症状がありかつ、鼻汁好酸球検査、皮膚テスト、血清特異的IgE抗体検査が陽性、誘発テストが陽性であれば確実である」とのことです。耳鼻科を受診して、鼻水を顕微鏡で見る検査、皮膚を針で傷つけて花粉などを溶かした液をつける、血液検査をする、実際に花粉を鼻に近づけて反応が出るかどうか見てから診断しなさい、ということです。。。。
先生、花粉症のためにそこまでされたくありません。
海外では臨床診断(医師が問診、診察するのみで検査はしない)が基本ですので、それで十分かなと思います。
管理人が基本は臨床診断のみでよいと考える理由としては、多くの場合、患者さん自身が毎年この時期になると症状が出ていて花粉症だとわかっている≒耳鼻科医が求めるほどの詳しい検査は希望していないことが多いからです。「自称花粉症」の人でも、よくよく話を聞いていると、その症状から後述する抗ヒスタミン薬などが効かないタイプの鼻炎(加齢性鼻炎、血管運動性鼻炎=寒暖差アレルギーなど)ではないかと診断する場合もありますが、患者さんは何らかの薬をもらうことを希望されており、結果的に「あまり効かないかもしれないけど試しに使ってみてください」と花粉症の時と同じ薬を出すことが多いからです。
「検査をしたい」と相談される場合もありますが、みなさんイメージされるのは血液検査のことでしょう。アレルギーを見る血液検査は偽陰性(実際はアレルギーだけど血液検査出反応が出ない)、偽陽性(アレルギーの症状は出ないけど血液検査では反応が出る)ため、参考程度にしかなりませんので、個人的にはあまり積極的に勧めません。臨床的に花粉症っぽければ花粉症の治療をします。血液検査の結果にかかわらずやることが変わらないからです。花粉含め39種類の様々なアレルギー反応をみられる検査は自己負担3割の場合約4200円かかります。当然これに加えて診察料、血液検査代金などがかかります。やることが変わらないのに+4200円。患者さんでも値段まで聞くと本当にやりたいかは意見が分かれるところだと思います。管理人は検査を拒否するという意味ではありません。値段と意義と含めて相談しています。
花粉症の対策
抗原暴露
花粉症はアレルギー反応を起こす物質=抗原があるから症状が出ます。なので、抗原に触れなければ症状が出ません!!可能な限り抗原を避ける工夫をしましょう。
具体的には、帽子、マスク、眼鏡・ゴーグル、花粉を部屋の中に持ち込まないことです。
- 帽子:髪の毛に花粉がつきにくくします
- マスク:効果を考えると不織布マスクが良いです。花粉の大きさを考えるとN95マスクのようなとても小さい粒子まで防ぐマスクは不要です。ちゃんとしたメーカーであれば遮断率試験と呼ばれるマスクの効果の試験を行っています。箱にその表示があれば安心できます。
- 眼鏡・ゴーグル:裸眼よりは眼鏡、普通の眼鏡よりは花粉症対策眼鏡やゴーグルのほうが目に入る花粉を減らせます。
- 花粉を部屋に持ち込まない:ニット帽やマフラーなどのウール製品は特に花粉がつきやすい服装で、逆にナイロンやポリエステル、革は花粉がつきにくいので部屋の中に花粉を持ち込みにくいです。洗濯物は花粉の時期は部屋干しが良いです。適宜空気清浄機も併用するのが良いでしょう。
また、あまり知られていませんが、鼻の周りや目の周りにワセリンを塗るのも効果的です。
なお、「鼻の穴にワセリン」と書いてあるのをネット上で見かけることがありますが、リポイド肺炎と呼ばれる、鼻から油分が肺に吸い込まれ沈着することで炎症を起こす病気を引き起こす可能性が指摘されていますで、鼻の穴の中には塗らないでください。
それでもだめなら薬物療法
花粉症みたいなんですが薬使った方が良いですか?
どれくらい困っているかによってだと思います。
花粉症の症状があってもそこまで困っていないなら抗原回避だけでよいでしょう。抗原回避だけでは症状が出て困るのであれば市販薬を試してみて、市販薬で困るようでしたら医師に相談するのではどうでしょうか。
花粉症は基本的には体質の問題ですので、毎年付き合っていくことになります。一口に花粉症といっても、症状は様々で、困り具合も様々です。同じ人でも今まで営業職で外回りだけだった人がコロナでリモートワークの内勤がメインになったり、出世して外回りをしなくなれば、薬がなくても困らないかもしれません。薬が必要かどうかは「ご自分が困っているか」これに尽きると思います。まだまだコロナ時代ですので、外で鼻水たらせない、咳できないといった外的な要因もありますが・・・
花粉症に使われる薬
そもそも処方薬と市販薬の違いは?
- 「医療用と同成分」と明記されていれば処方薬と中身は同じ
ですので時間とお金のコストをどう考えるかということだと思います。医師に直接相談できるという点もありますね。この薬で十分症状が抑えれることがわかっていて、病院に行く時間がないという方は市販薬でよいでしょう。ただし、市販薬のほうが高くつきます。処方薬のほうが保険者負担分がありますしジェネリックを選べばさらにコストは抑えられます。医師、薬剤師に直接相談できます。当然、その分時間はかかります。時間がないしコストも抑えたいという方はオンライン診療を試してみるのもありかもしれません。 - 市販薬は余計なものが色々含まれていることが多い
医者目線で言わせると、余計な成分、たいして効かない成分が複数含まれていることが多いなという印象です。また、同じ薬剤でも処方薬よりも量が不十分なことが多いです。処方薬は基本は1つの薬剤に1つの有効成分なので、困っている症状に最も効果が高い成分を最も適切な量で使うことができます。
抗ヒスタミン薬の飲み薬
CMでもよく見るアレグラ、アレジオンなどのことです。もっとも代表的な花粉症の治療薬でしょう。抗ヒスタミン薬は、花粉症のための薬というよりは、ざっくりと「鼻水の薬」「かゆみの薬」と思っていただければよいです。風邪の鼻水でも処方されますし(実は抗ヒスタミン薬単独ではほぼ効果がないのですが・・・)、通年性アレルギー性鼻炎でも、肌のかゆみ、蕁麻疹などでも処方される薬です。
- 鼻水、くしゃみ、目のかゆみといった花粉症症状全般に効果があります
- 鼻づまりにはそこまで効果がありません
- その日のうちから効果を実感できる
- 代表的な副作用として、眠気、作業効率の低下、口の渇きがあります
一部の医師は「効果が高いほど眠気が強い」という意見を持っていますが、「効果と眠気に相関関係はない」という臨床研究もあります。
効果も副作用も個人差が大きいなという印象はあります。●●という薬がAさんには効果が大きくて眠気が強いが、Bさんには効果が大きく眠気もない。△△という薬はAさんには効果も眠気もないが、Bさんには効果が大きく眠気も強い、ということをしばしば経験します。
眠気が出る恐れがありますので、薬によっては車の運転、機械の操作、高所作業等危険を伴う作業(以下、自動車の運転等)はしないように記載されているものがあります。車の運転等をされる方は、受診時に必ず医師に伝えてください。以下、代表的なものを記載します。(すべて商品名記載。添付文章は適宜改定される可能性がありますので最新情報は医師、薬剤師にご確認ください)
- 自動車の運転等についての記載がない
アレグラ、クラリチン、ディレグラ、デザレックス、ビラノア - 自動車の運転等には注意させる(禁止とまでは書いてないが注意喚起)
アレジオン、エバステル - 自動車の運転等はさせないよう十分注意
アレサガ、アレロック、ザジテン、ジルテック、ルパフィン
「記載がない=眠気がでない」ではありませんのでご注意ください。
なお、最近では医師が処方することはかなりまれになりましたが、第一世代抗ヒスタミン薬と呼ばれるポララミンなどは眠気や口喝などの副作用がかなり出やすいです。
第一世代抗ヒスタミン薬は市販薬ではいまだによく使われているので注意しましょう
上にあげたものはすべて、副作用を減らした改良型の第二世代抗ヒスタミン薬と呼ばれるものです。ごくまれに、第二世代抗ヒスタミン薬では症状が抑えきれない場合に第一世代抗ヒスタミン薬が併用される場合があります。
今飲んでいる抗ヒスタミン薬が効果不十分、副作用(眠気、口の渇きなど)が強いという印象をお持ちの場合は、抗ヒスタミン薬の変更、他の治療法への変更、他の治療法の併用を薬剤師や医師と相談してみるのが良いでしょう。
点鼻ステロイド
日本ではやっと増えてきたという印象ですが、耳鼻科の先生が推奨されるように、抗ヒスタミン薬で効果不十分の場合は点鼻ステロイドが使われることが多いです。海外では費用対効果、副作用の少なさの面から最初に使う薬です。
管理人も4-5年ほど前から抗ヒスタミン薬内服に点鼻ステロイドを併用するようになってからとても楽になりました。
今までは処方薬のみでしたが、ここ数年で何種類か第一類医薬品になりましたので病院に行かなくても手に入るようになりました。点鼻抗ヒスタミン薬、血管収縮薬が入っている点鼻薬は別物ですのでご注意ください。基本的には鼻症状の薬ですが、処方薬であるアラミストは眼症状への効果が海外の臨床試験で報告されています。(他の点鼻薬では評価していないだけで実際は効果があるかもしれません。https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/1/123_30/_pdf)
- 鼻づまりを含めた鼻症状への効果は抗ヒスタミン薬内服より効果が高い
- 海外では第一選択で使われる
- 抗ヒスタミン薬ほど即効性はないので数日~1週間使うと効果が実感
- 1日1回で済む点鼻ステロイドは処方薬のみ
- 代表的な副作用は鼻の刺激感、乾燥、鼻血
- 適切に使えば全身性のステロイドの副作用はまず出ない
ロイコトリエン拮抗薬
基本は鼻づまりに対する薬です。上記2薬剤で効果不十分だったり、点鼻薬が嫌な人の鼻づまりに処方します。
点眼薬
抗ヒスタミン薬、ステロイドの点眼があります。症状が強く目の炎症が強ければステロイド点眼が処方される場合もありますが、漫然と使うと緑内障などの副作用がありますので、眼科医以外は自分でステロイド点眼は基本出さないです。(以前処方されていた場合や、眼科医から指示があれば処方することはあります)
ステロイド点鼻に多少は目の症状を改善する効果が期待できますが、抗ヒスタミン薬内服でも目の症状が強い場合は抗ヒスタミン薬点眼を併用することが多いです。
コンタクトレンズを使っている方は点眼薬の選択に注意が必要です。コンタクトレンズ使っている方は基本はアレジオン点眼一択です。こちらのサイトがわかりやすかったです。知りませんでしたがアレジオンLXという1日2回点眼の点眼が出たようです。こちらはジェネリックがないこともあり1本あたり薬価は約2700円(自己負担割合は×1-3割)、ジェネリックであるオロパタジン点眼は1本580円です。それぞれ1日2回の点眼と4回の点眼ではありますが、約2.3倍くらい高いですね。
市販の点眼抗ヒスタミン薬もありますので、病院に行くのが大変という人はそれでよいと思います。抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬とは似て非なるものです)の点眼は即効性があまりないといわrています。
- 抗ヒスタミン薬内服で効果不十分なら抗ヒスタミン点眼を使う
- コンタクトレンズ使用者はアレジオン点眼一択
- 1日2回のアレジオン点眼(処方薬)が出たが、ちょっと高め
- 花粉を洗い流すことが目的ではないので決まった回数定期的に使うのが効果的
- 抗アレルギー薬点眼は即効性があまりない
- 症状がかなり強い場合、眼科医がステロイド点眼を処方する場合がある
漢方薬
花粉症治療の代表的な漢方薬として小青竜湯があります。基本は1日3回なのですが個人的な使用感としては、効果は「数時間」という印象です。もっと頻回に飲まないとちゃんとした効果は期待できなかもしれません。動悸や血圧上昇することがありますので特に高血圧の人は中止ましょう。(添付文章上、適宜増減可なので1日4回内服などでも処方で聞くはない)
管理人も症状がひどいと小青竜湯を飲みます。
(点鼻抗ヒスタミン薬、点鼻抗アレルギー薬)
市販薬ではまだ主流です。たまに昔から使っていて薬を変えたくないという人に処方することはありますが、点鼻ステロイドがありまので、処方されることはだいぶ減ったと思います。
1日4-6回の頻回の点鼻が必要なので自分だったらやりたくないです。
(ステロイド内服、ステロイド注射)
他のどの薬を使ってもどうしようもなく症状があるという場合にステロイド内服が出される場合がありますが、基本は耳鼻科/アレルギー専門医の下で、短期間の使用でという治療です。
昔は「1シーズン1回で済む注射」としてステロイド注射が使用されたこともあるようですが、副作用の観点から最近はまずやられません。おじいちゃん先生がたまにやっていることもあるようですが・・・
抗体療法
他の治療法で症状がコントロールしきれない(生活や仕事に大きな支障が出る)場合に検討されます。詳細は製薬会社のサイトを参照してください。
免疫療法
これだけで記事数本書けるレベルですので一旦詳細は割愛します。アレルギーの原因物質を少量から投与(舌下または皮下注射)して体を原因物質に慣らすことで長期にわたって症状をおさえたり、症状をやわらげたりすることが期待できます。他の治療ではなかなかよくならない場合、根本的に直して飲み薬などのわずらわしさから解放されたい場合に検討されます。ただし、通院負担、費用負担は一般的な治療に比べるとかなりあります。
まとめ
- 暴露される花粉が少ないほど症状は軽いので曝露量を減らそう
- 症状がつらければ薬を使いますが、市販薬か処方薬かは時間とお金のコスト、医師に直接相談できる安心感を天秤にかけて検討しましょう
- 基本は抗ヒスタミン薬の飲み薬
- それでもつらければ点鼻ステロイド
- 眼の症状には抗ヒスタミン点眼薬を
- コンタクトレンズ使用者はアレジオン点眼を使う
- 色々やってもつらい、もう薬を飲むのは嫌だというなら免疫療法を検討
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