家庭医って?

ぱんだ

管理人さん。家庭医ってなんですか?

ふぷふぷ

家庭医とは、地域住民の健康のために働く総合診療医のことです。(日本プライマリ・ケア連合学会Webサイトより)

管理人は「家庭医」として診療所で勤務しています(開業医ではないです)。多くの方は「家庭医」という名称になじみがないかもしれません。

本記事では家庭医とは何かについて解説します。

管理人は日本プライマリ・ケア連合学会認定の家庭医療専門医です。家庭医について日本プライマリ・ケア連合学会のサイトにはこのように説明されています。

「家庭医とは、地域住民の健康のために働く総合診療医のことです。地域を「まるごと診る」ためには、特定の年齢・臓器・疾患などを守備範囲とする他の専門医とは異なるアプローチが求められます。具体的には、地域全体を対象として、日常よく遭遇する健康問題に対して、年齢や疾患を問わず、予防医療、多疾患併存(multimorbidity)や、心理社会的問題などを含めて、家族との関係性も重視しつつ、包括的に対応できる能力が必要になります。また、地域全体を診るという視点からは、地域の医療・介護・福祉などのリソースと連携して、最適なサービスを提供していく能力も重要です。働く場所も多様であり、大都市から僻地・離島、総合病院からクリニックまで、活躍の場を選びません。このような能力を高いレベルでまんべんなく身につけるには、体系的なトレーニングが必要なのはいうまでもありません」

https://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2010dir/n2903dir/n2903gif/n2903_07.gif

「家族の木」(松下明監訳.家族志向のプライマリ・ケア.シュプリンガー;2006より)

患者さんの心理・社会的背景、家族背景、さらには地域のことまで考えて診療している、というイメージです。

家庭医は「●●内科」、「△△外科」のように臓器の専門を極める専門医ではなく、患者さん・家族・地域を丸ごと診ることを深めていく医師です。「あなたとあなた家族の専門医です」と説明されることもあります。家庭医はプライマリ・ケアを提供します。プライマリ・ケアの理念は下記のとおりです。

プライマリ・ケアの5つの理念(日本プライマリ・ケア連合学会Webサイトより)

少なくとも大学病院で手術をしまっくたり、救急外来で死にそうな人を助けたりしている医者とは違うぞというのはご理解いただけると思います。身近なところで、どんな健康問題でも、様々な医療・介護関係者と連携しながら、継続的に責任を持って医療を提供するのがプライマリ・ケアであり、それを提供するのが家庭医です。年齢、性別、困っている健康問題にかかわらず適切に対処し、自分だけでは無理だと思ったら適切なリソース(医者とは限りません。ケアマネージャーさんだったり、行政だったりもします。)につなぎます。

ぱんだ

どこのクリニックの先生もそんな感じではないんですか?

ふぷふぷ

ざっくり言うと家庭医は、クリニックで最適な医療を提供するために体系的に学んだ医師です。

そこらへんのクリニックってそんなものでは?と思われるかもしれません。しかし、多くの開業医の先生方は、プライマリ・ケアを提供するためのトレーニングを受けていません。(良い悪いではなく、そもそも家庭医療専門医制度がない時代に開業されていたり、ご家族の医院の継承だったりと、開業医として働くにも様々なキャリアパスがあります)

家庭医はプライマリ・ケアを提供するために必要なさまざまな理論を習得しています。家庭医療の理論は、多くの場合、医学生のうちに学ぶことがなく、大病院で勤務していても学ぶことがありません。ざっくり言ってしまうと、その理論的背景は、「昔いた超すごい町医者」がどんな診療をしているかを分析して導き出したフレームワークです。ですので、現在地域で着目されている開業医の先生方で、そのような診療を自然にできてしまっている人も当然おられます。家庭医療専門医はそのような理論を日本プライマリ・ケア連合学会が認定したプログラムに乗って、体系的に学んだ医師です。

意思決定をする際に、医療者が考える方法を一方的に伝えてやってもらうのではなく、患者さんの家族的・社会的・文化的・経済的背景まで含めて意思決定を行うというのも家庭医が得意するところです。

先日の外来診療を振り返ると、9か月児健診、3か月児の予防接種、30代の方の就業時健康診断、40代の方のコロナワクチン、60台の糖尿病でかかっている方の職場健診の結果の相談に乗る、70代の高血圧の方、80代の高血圧の方だけど先週旦那さんが亡くなられてグリーフケアをするといったかなり幅の広い診療を行いました。ちなみに、家庭医療専門医の資格を持っている医師でも、教育機関、行政、様々な規模の病院、開業、起業などなど、多種多様な職場があります。

別の記事ではファイナンシャルプランナーについて、また、家庭医とファイナンシャルプランナーの親和性についてお話しします。

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